北海道へ行こう!

北海道へ行こう!

—オホーツクの神秘— 流氷を見ずにいられない!

流氷。

それは北海道でも限られたごく一部の地域でしか見ることのできない貴重な体験。
毎年真冬の時期に遙か北からやってくる冬の使者。その神秘を知れば知るほど、実際に見たくなってきます。なかなか実際に見る機会がない流氷、今日はご紹介します。

北海道の流氷

北海道は、四方を海で囲まれています。
太平洋、日本海、そしてオホーツク海です。日本人にとってオホーツク海は北の最果ての地。でも、オホーツクの海は漁業資源の宝庫。サケ・マス・タラ・ニシン・サンマ・カニ・アマエビ・ホタテ・コンブ・カキといった北海道ならではの食材が獲れるのです。

実は、この環境に流氷が大きく関与しているのです。オホーツク海は、その特異な環境から比較的低緯度の場所でも流氷=海が凍る現象が見られます。凍った海では、冬季の表層水の冷却、海氷の生成に伴うブラインの排出や沈降によって海水の鉛直混合(上下の混じり合い)という状態が発生します。このとき海底に沈んでいた栄養素を含んだ塩がリサイクルされ、豊かな栄養塩となって復活します。この結果、植物プランクトンの生息に適した海となり、それを食料とする小さな生物が集まり、さらにその小さな生物を食料とする生物が集まり…というように食物連鎖が活発になります。これが繰り返され、豊富な漁業資源が生まれたのです。

まさに流氷は恵みの氷、なのですね。

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この流氷は、遙か北のアムール川から流れ出た水が原因となり、塩分が低くなった海水が凍ることによって生まれます。凍っていく過程でさらに塩分がなくなり、より大きく成長します。通常、北海道のオホーツク海沿岸では、1月中旬から下旬頃にかけて流氷が観測されはじめ、1月下旬から2月上旬頃にかけて接岸します。最近では網走付近から知床にかけて接岸する機会が多いようですが、特に寒いシーズンや風向きによっては、稚内から根室付近までびっしりと流氷に覆われることもあります。

今回、2月の下旬に紋別から知床方面へと流氷を見に行ってきました。

紋別で流氷と遭遇! —ガリンコ号Ⅱ乗船—

なぜ紋別か。

その答えは「船」にあります。そう、流氷の中を進む船です。流氷観光船として、紋別と網走にそれぞれ運行されている船があるのですが、紋別から出港する「ガリンコ号Ⅱ」は、小さいながらもガリガリと氷を割りながら進むダイナミックな船。流氷をダイレクトに味わうには最高のロケーションなのです。

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写真でもわかるとおり、少々小さめの船。定員は195名ほど。
最大の特徴は、「アルキメディアン・スクリュー」を装備していることです。ん?と思った方は、ネジを想像してみてください。ネジを締めていくと前に進んで行くと思いますが、その原理を応用した動力装置なのです。船の両脇に巨大なネジが2本付いていて、それがぐるんぐるんと回りながら進むイメージです。

少し位厚みがある流氷でも、この2本のネジで乗り上げて船の重みで氷を割って進むというなんとも頼もしいダイナミックな仕様。網走の「おーろら号」が比較的おとなしくやさしい観光船だとしたら、この「ガリンコ号Ⅱ」は「来るなら来いや!」と果敢に挑戦するチャレンジャーのようです。

このガリンコ号Ⅱ、シーズンは1日最大7便出港します。なかでもオススメなのが朝一の出港。なんと早朝6時の出発(6時発のサンライズクルーズは2月のみの運行)です。でも、これに乗ると船の上から昇る朝日が見られるんです!私たちも今回この朝6時の船を予約して乗船しました。眠さも、朝の寒さでどこかに飛んでいってしまいます。

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まだ太陽が昇っていない状態のため「最低気温」状態です。−10℃以下は覚悟してくださいね(笑
さらにデッキに出るとなると(大抵の人は出ています)吹きさらしの風。体感温度は−20℃近くになることがあります。ですので、完全防備で乗り込みましょう。鏡にちらっと映った感じ、ナイスです。

紋別の港を出てすぐは、薄い氷の膜のような感じだったのですが、しばらく突き進むとだんだんと氷の厚みと大きさが増してきました。ここからガリンコ号Ⅱの本領発揮。氷に突進してがりがりとやり始めるのです。

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デッキで見ていると大迫力。
船長さんによってはサービス精神旺盛な方もいて、わざと大きな氷にチャレンジしてくれます。時には乗り上げて、止まってしまってやり直し、なんてことも。「どーん!ごごごごご!」みたいに大きな音と振動が大迫力です。これはガリンコ号Ⅱでしか味わえない体験です。

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ふと後ろを見ると、ガリンコ号Ⅱが通ったあと道ができていました。
本当に氷の中を進んでいるんだなあと改めて実感してしまいました。

残念ながらこの日の天候は曇り。それもちょっと重めの曇り。日の出を期待して乗り込んだ早朝の
便でしたが残念な結果に終わってしまいました。それでも、雲の切れ目から時たまのぞく太陽は、とてもきれい。朝焼けに真っ赤に染まっている感じを脳内合成しながら乗っていたのでした。

ガリンコ号Ⅱの乗船時間は約1時間。流氷が近くにないと結構遠くまで行ってくれるみたいで、時間をオーバーすることもしばしば。サービス心旺盛なガリンコ号Ⅱくんなのでした。ガリンコ号は完全予約制なので、専用のサイトか電話で申し込む必要があります。料金は流氷ありの場合が3,000円。なしの場合は2,500円です。これであの迫力が体感できるなら、お得感たっぷりですよ!

—おまけ— とっかりセンター

ガリンコ号Ⅱを降りると、近くに「とっかりセンター」があるのでぜひ立ち寄りましょう。
ゴマちゃんアザラシたちがお出迎えしてくれますよ。入場料もえさ代などの協力費として200円。うーん。リーズナブル。

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完全オヤスミモードでした。

次の目的地 知床へ

紋別から一気に知床に向かいます。

紋別にはJRの駅がありませんので、車やバスでの移動となります。知床方面へ行く際には、網走からJRの「流氷ノロッコ号」もオススメです。1日2往復ですが、流氷体験が数多くできる列車です。流氷の見える所ではスピードを落としゆっくりと走ってくれます。

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途中の「北浜」という駅では長時間停車し、展望デッキから網走の流氷を眺めることができます。

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「流氷ノロッコ号」の車内の暖房設備はなんと石炭のだるまストーブのみ。この上でお燗したりするめやおにぎりを焼いて食べたりできますよ。

ノロッコ号の終点「知床斜里」駅からは交通手段は車だけ。冬道のドライブとなりますので慎重に運転してくださいね。さて、目指すは「ウトロ」と呼ばれる地域。ここは例年流氷の接岸率が最も高い場所です。網走や紋別に接岸していなくても、ここウトロはがっちりと接岸していることが多いのです。

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この日も期待通りみっちり。
これだけみっちりしてしまうと、海には一切波が発生しません。シーンと静まりかえった海に、流氷同士がこすれあう「ぎゅう。ぎゅう。」という音が聞こえます。なんかちょっとかわいらしい音です。

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ウトロの海岸から「プユニ岬」を眺めて1枚。なんて素晴らしい景色なのでしょう!はるか沖まで流氷だらけ。一面の流氷原です。

流氷に沈みゆく太陽

今日のハイライトはここから。
流氷に沈む太陽です。ここプユニ岬からみる日の入りはまさに絶景。感動的という言葉では足りないほどです。

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流氷に影を作りながらゆっくりと沈んでゆく太陽。

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余韻まで美しく、寒さを忘れさせてくれました。

この流氷観光、便利なツアーもたくさん用意されています。
どうしても交通手段が車のみに限定されてしまう地域、なかなか冬道ドライブはハードルが高いのも事実です。最初はツアーを利用し、少し慣れてからフリーのプランを練ってみるのも良さそうですね。流氷はシーズンに必ずあえるというわけではありません。昨日まで接岸していたのに、南風で一気に沖にかえってしまうこともあります。

みなさんが来た時には、流氷は待っていてくれるでしょうか?
それもまた楽しみの1つかもしれません。

★今日ご紹介の場所(ポイントをクリックすると場所が表示されます)

 

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